ショータロー☆コンプレックス2
「ん?うん。ここは開院当初から7時までやってますよ。あ、ちょっとTシャツ捲ってくれますか?」


辻谷の質問に答えたあと、先生は聴診器を耳にかけつつ、オレにそう指示して来た。


言われた通りに腹を見せ、次いで背中も見せて、「はい。良いですよ」という言葉に従い、Tシャツの裾を降ろして再び先生に向き合う。


「じゃ、ちょっと口の中を見せてもらいますね」


先生は体をひねって自分の脇に置いてあるワゴンに腕を伸ばすと、その上のコップに入っていたステンレス製のヘラを手に取り、オレの口内へと侵入させ、それで舌を押さえつけた。


瞬間、思わず体が強張る。


実はオレはこれがすこぶる苦手で、ついつい病院に行くのを躊躇ってしまうのだ。


まぁ、ある程度大きくなってからは我慢もきくようになったけど、小さい時は必ずえずいて泣き出してしまった。


舌を刺激するひんやりとした無機質な感触、そして本来なら入るハズの無い物質を口内に挿入されるという行為が子ども心におぞましく、その苦手意識は大人になった今でも中々消えはしない。


「あ~、大分腫れちゃってますね。これが原因で熱が出たのね」


オレの緊張を察知したのか、先生は素早く喉の奥を確認すると、すぐに器具を引き抜いてくれた。


そしてコップの中に戻すと、椅子を回転させて机に向き直る。
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