ショータロー☆コンプレックス2
正式名称は知らない(知りたくもない)けど、先端に、赤茶色の薬が染み込んだ脱脂綿が巻かれている、オレにとっては恐怖の器具。


「はい、お口開けて下さいねー」


看護師さんにアゴの下に手を添えられてそう促されたので、覚悟を決めて口を開けると、間髪入れず、何のためらいもなく、棒が突っ込まれた。


喉の奥に独特の苦い味が広がって、案の定込み上げて来るものがあり、一瞬『うっ』となったけど、それが頂点に達する前に看護師さんは素早く棒を引き抜いてくれた。


「はい、終わりましたよー」


「あ……」


案外あっさりとその試練の時が過ぎたので、思わず拍子抜けした。


子どもの時はホント、てんやわんやの大騒ぎだったから…。


オレが大人になって耐性ができたからなのか看護師さんの処置が上手だからなのかは分からないけど。


これでやっと帰れるという安堵感に浸りながらオレは立ち上がり、礼を述べた。


「ありがとうございました」


「はい、お大事になさって下さいね」


看護師さんに案内され、オレは衝立伝いにそのまま出入口へと向かった。


患者同士がはちあわせしない為の配慮なのだろう。


「終わったか?」


診察室を出てすぐの所で、辻谷が壁に背を預け、腕を組んで立っていた。


「あ、うん……」
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