ショータロー☆コンプレックス2
外に向けて、瞬間的に爆発する怒りじゃなくて、温度は低いけれど、心の中で静かに、いつまでもメラメラと燃焼し続ける怒り。


だからこそ自分でも、これはやっかいだな、と思った。


今まで他人に対して、ストレートな怒りをぶつけた事はあまりない。


他人にむき出しの感情を見せるのは何だか恥ずかしかったし、それより何より面倒くさかったから。


理不尽な事を言われたりやられたりしても、適当に笑って誤魔化して、その場を切り抜けて来た。


だけど何だか、辻谷の前では素直に感情が育ってしまう。


その言動や立ち居振舞いに感心したり、尊敬したり、そしてこの上なく憎たらしく思ったり。


そしてそれを、躊躇なくストレートにぶつけてしまいそうになる。


目まぐるしい心の変化に、自分自身、付いて行くのがとても辛い。


オレは何とか次の言葉を紡ごうとしている辻谷から顔を背けて体をひねると、ドアの取っ手に手をかけた。


「……おい、どこ行くんだよ」


「1人で帰る」


「は?何でだよ。家まで送ってやるって」


辻谷は慌ててオレの右腕を掴んだ。


「ここがどこだか分かってんのか?しかも体が本調子じゃないのに。電車やバスで帰るのは大変だろ?」


「タクシー呼ぶもん」


「タクシーって……。お前ん家までいくらかかるか分からないぞ。そんな金ないんだろ?」
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