ショータロー☆コンプレックス2
辻谷は呆れた口調でそう言ったあと、ふと気付いたように問いかけてきた。


「っていうかお前、なんか体、熱くね?」


「当たり前じゃん。熱があるんだから」


何を今さら。


今のセリフで、つくづくコイツが、オレの事なんかどうでも良いと思っていた事が証明された。


「38度近く、あるんだからなっ」


「えっ。マジかよ!そんなに高かったのか!?」


辻谷は素で驚いていた。


「普通に稽古場に来てたから、てっきりそんな大したことないと思ってて…。途中ボケはかましてたけど、それは今に始まった事じゃないし」


「はぁっ!?」


「動き回るうちに、だんだん熱が上がってきちまったんだな」


カチンと来て、思わず睨み付けたオレに全く怯む事なく、辻谷は独り言のようにそう呟いたあと、続けた。


「だったら、余計1人で帰らせる訳にはいかねぇよ」


「…別に良いってば」


「良くねぇだろっ」


腕を掴む手を振り払おうともがいたオレの動きを、それよりも強い力で封じ込めつつ、辻谷は言葉を発した。


「頼むから、家まで送らせてくれよ」


その真摯な瞳と物言いに、一瞬戦意が喪失する。


それを素早く察知したらしい辻谷は、急いでハンドルの方に向き直り、サイドブレーキとギアを操作してアクセルを踏み込むと、強引に車をスタートさせてしまった。
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