ショータロー☆コンプレックス2
いくらなんでも動いている車から飛び降りる程の度胸はオレにはない。


仕方なく、シートにきちんと腰を落ち着けてから、シートベルトをかける。


別にコイツに気を許した訳ではなくて、ベルトをきちんとしとかないと、警察官に見つかった場合に、オレ自身も減点対象になってしまうから。


せっかく今まで無事故無違反のゴールド免許を維持してきたのに(まぁ大部分の期間ペーパーだったからだけど)、それは絶対に避けたい。


せめてもの反抗に、オレは辻谷にそっぽを向く形で窓側に体を傾けると、そのまま目を閉じた。


稽古場からオレの帰宅ルートとは逆方向に20分ほど走ったのだから、そこから推察すると、アパートにたどり着くまで4、50分はかかるハズ。


その間、一言だって口をきいてやるもんかという意志表示だ。


辻谷の方も、どう言葉を繰り出して良いか分からないらしく、無言でハンドルを握っていた。


しかし。


その姿勢で車の揺れに身をまかせているうちに、だんだんと胃のあたりがムカムカしてきて、吐き気が込み上げて来た。


どうやら、乗り物酔いをしてしまったらしい。


めったにその状態になった事がないので、かなり久しぶりに経験する感覚だった。


もともと体調がおもわしくないとこにもってきて、無理な姿勢のまま車の振動を受け止めていたので三半規管が乱れたんだろう。
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