ショータロー☆コンプレックス2
だけど、今さら引っ込みはつかない。


引っ込むつもりもなかった。


「熱があって、すごくだるくて…」


だからこれくらいは許してね、という気持ちを暗に込めて言葉を吐き出す。


「ええ!?た、大変!すぐにお医者さんに…」

「ううん。それは、もう行った」


オレは弱々しく左手を動かすと、ずっと握ったままだった薬袋を瑠美ちゃんの目の前に掲げてみせた。


「じゃあ、早くそれ飲んで寝ないと…。あ。でも、その前に何か食べてからでないと胃に悪いよね。おかゆとかおうどんとか、消化に良いもの……」


慌てながらも、瑠美ちゃんはオレの為にやるべき事を必死に考えてくれている。


それがさらに、オレの心を締め付けた。


「でも、今ウチ、まともな食料ないんだ…」


先日ゲットした交通量調査の給料は、公共料金の支払いで瞬く間に消えてしまったから。


ていうか、その支払いがあったからこそバイトは外せなかったんだけど。


そして別の仕事の給料日は来週の頭なので、それまでの辛抱と、ずっと特売のパンとかカップラーメンとかで腹を満たして来たのだ。


台所の戸棚の中にはまだ10個近くの、様々な種類のカップラーメンがストックされている。


言い換えれば食べられる物はそれしかない。


当初の予定では、スーパーで何十円で売っているうどん玉を仕入れて帰るつもりだったんだけど、この体調ではその気力も消え失せた。
< 59 / 61 >

この作品をシェア

pagetop