いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


それを分かったうえで、知ってるうえで。


私を、彼女だって紹介してくれるの……?


「……心咲?」


心配してるのが顔に出てたのか、春斗が今度は悲しそうな顔をする。


「心咲は、嫌だったかな……?」


まるで捨てられた子犬のようにしょぼんとうなだれてしまった春斗を見て、私はあわてて春斗の手を握った。


「違うの……っ!そうじゃない。そうじゃないよ……」

「じゃあ、なに?他に心配なことでもあんの……?」


春斗のその言葉に、私はグッと唇を噛み締めた。


言わなきゃ。


本当のことを言わなきゃ、春斗を誤解させたままになる。


「だって……」

「ん?」

「私、病気だから……。記憶、消えちゃうから……。春斗の両親に、きっとよく思われない。仁奈さんにも、迷惑かけちゃうよ……」


自分で病気のことを言うたびに、いつも涙が溢れそうになる。


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