いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
「……ふぅ」
ゆっくりと深呼吸をしてから自分のベッドに腰かけ、汗ばむ手でアドレス帳から瑠希の番号を探し出し、真ん中のボタンを押す。
───プルルル、プルルル。
瑠希を呼びだすコール音が、私の耳に大きく響く。
そしてコール音と同じくらい、私の心臓も大きく波打っていた。
『……もしもし、心咲か?』
コールから数秒して携帯から聞こえてきたのは、私の大好きな声。
「る、き………っ」
大好きな人を前にして、溢れ出してくるものを我慢できるほど、私は強くなかった。
電話の向こうで、瑠希が慌てているのが分かる。