いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


春斗は笑っていた。


優しい瞳で、私を見下ろしながら。


「“大切な娘にはいつも幸せでいてほしい”って、これ、おばさんの言葉。心咲はさ、いつも大切に想われてるんだよ。自分が思ってるより、何倍も」


涙を流しながら、私はそっと目を閉じた。


そして、ある覚悟を決めた。


ちゃんと、お母さんにごめんなさいって言おう。


そして、お父さんとお母さんに伝えるんだ。


“私を生んでくれてありがとう”って、“育ててくれてありがとう”って。


今までそんなこと言ったことがないからちょっと恥ずかしく感じるけど、でも言わなきゃ。


だって、言わなきゃ伝わらないから。


あんなこと言っちゃって申し訳ないと思ってることも、いつもふたりに感謝の気持ちを抱いてることも。


口に出さなきゃ、何も伝わらないんだ。


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