月下美人が堕ちた朝
20070725pm09:22

サンタクロースがこの世に存在しないことを理解した五歳のときに、あたしは神様という存在もないのだと悟った。

例え、あたしがどんなに綺麗な魂をしていて、毎日眠る前に祈りを捧げたって意味など皆無なのだ。

だからこの世界で無様に生き延びようとする人間たちは、殺し合いを繰り返し、誰かに愛されたいが為に誰かを憎むように仕組まれている。

誰が仕組んだかなんて、そんなこと知らない。

興味もない。

だけどあたしの遺伝子は、確実にその恐ろしい人間の仕組みが染み込んでいる。

そして、誰かを憎むことだけではなく、愛しい恋人すら憎むことであたしは自分の存在意義を確かめているのだ。

どんなに強がっても、プライドの壁で自分を守っても、あたしは独りでは生きていけない。

あたしは弱い。

本当に弱い。

だけど今日だけは、全てが偽物だと、おっしゃって頂けませんか?

神様…
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