月下美人が堕ちた朝
20060725pm10:07

七月二十五日。

今日はなんて、不運な日なんだろう。

スバルが殺され、自分が病気だと言われた。

人間という生き物は不思議で、此処まで墜ちてしまうと、次に自分が何をするべきかを頭できちんと整理できるのだ。

昨晩はスバルが部屋を出ていっただけで、気が狂いそうだったのに。

あたしはカズヤに分厚い教科書を一冊借りて、スバルの遺体へ逢いに行くことに決めた。

カズヤは車で送ると何度も言ってきたが、断った。

本当の最期ぐらいは、自分の足でスバルに逢いに行きたかったし、そうじゃなきゃいけないような気がした。

あたしはユウコさんには何も言わず、彼の家を後にした。

これ以上心配や迷惑をかけるわけにはいかなかったし、母親にスバルの存在を知られたくなかったから。

あたしは湿気の多い夏の空気を感じながら、冷たくなったアスファルトを歩いた。
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