月下美人が堕ちた朝
20060725pm12:03
楽譜の入ったバッグを肩にかけて、i-podのイヤホンを耳に入れる。

大音量で流れてきたのは、ピストルズの「セブンティーン」。

スバルがフザけて、勝手にダウンロードした曲だ。

最初はうるさいだけで全然聞いていなかったけど、世の中を皮肉ったようなボーカルの声が気に入って、最近ではこの曲だけリピートして聞いている。

ガンガンと聴覚を刺激させながら、あたしは冷たくて重い部屋のドアを開けた。

熱風が頬を撫で、太陽が容赦なくあたしを照らす。

こんな醜い女にも、太陽は皆と平等に光を与えてくれる。

多分、どんなことがあっても。

細いヒールのサンダルを鳴らしながら、あたしは慎重に階段を降りる。

前に一度、足を捻ったと同時に階段から落ちたことがあるからだ。

骨に以上はなかったものの、足首を捻挫して一週間はまともに歩けなかった。
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