くすんだ街
「……あなたも一緒に行こ?」


女性が少女に向かって手を差し伸べる。
しかし、少女はぷるぷると首を振った。

相変わらず、少女は無表情だったが、スグルの目にはその顔がどこか悲しげに見えた。

列車がホームに滑り込む。

スグルはその音に視線を動かす。
猶予はあまりない。

少女のことは気にかかるが、この時を逃せばもうこんなチャンスは二度とこないだろう。


「……行きますよ!」


スグルは咄嗟に女性の腕を引っ張った。
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