甘やかな螺旋のゆりかご


「わたしの想いを知って、気持ち悪いと言わないでいてくれた」


「そんなこと、思わなかったよ?」


「ずっと、支えのひとつだったわ。けど、いつかあなたがそれを後悔しなければいいって今でも思ってる」


「思わないっ」


「血液を一滴残らず交換出来ればいいのにって言ってくれた」


「だって、そうしたらお姉ちゃんはもしかしてっ……」


「幸せな夢ね」


家庭の事情で、あたしはお兄ちゃんと血の繋がりはない。お姉ちゃんともない。……けど、お姉ちゃんとお兄ちゃんは……。そして、あたしたちは幸せな家族だ。


「真っ当な恋をしてくれているあなたに救われてる。恋するわたしを、ずっと狂ってる愚かなわたしを、あなたはそれでも綺麗だと言ってくれた。報われないし辛いだけだけで、でも裁ち切れないわたしなのに、誰かひとりにでもそう見えていてくれることに、どれだけ涙したことか――でも、本当にごめんね。こんなお姉ちゃんで」


そうやって謝るお姉ちゃんは、けど恋する気持ちを捨てることはできなくて。


でも、あたしは変わらず、恋するお姉ちゃんは綺麗だと感じた。


気持ちが悪いと、軽蔑しないあたしも狂ってるのかもしれない。けどそれでもいい。目の前のお姉ちゃんが、あたしで少しでも元気が出てくれるのなら。




大好きよ。お姉ちゃん。


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