はるのリベンジ
小川「こりゃ、ひでぇよ・・・。」
すると、それを見た高杉が、懐に手を入れた。
バッと、私達も、刀に手をかける。
すると、月隈という男が、高杉の懐に入った腕を掴んだ。
月隈「高杉、止めろ!お前がここで暴れたら、どうなる?梅・・おはるが悲しむ。それに、おはるがここまでした事が水の泡だ。」
高杉は、拳を固く握り締めて、しばらく、目を瞑る。
すると、高杉は、ポツポツと話しだした。
高杉「コイツ・・・。はるが何故、男になってまで、新選組に入ったのか?それは、父親の復讐のためだ。」
近藤「それは、聞いている。長州の者に殺されたと言っていた。」
高杉「違う。お前らに、だ。」
近藤・沖田・山崎「え!?」
土方「・・・。」
高杉「コイツは、去年の夏に、長州の地元で、祝言を挙げる予定だった。それで、婚礼衣装を求め、父の出稽古に付いて、京に来た。そして、父親がお前らに間違って捕縛され、挙げ句、拷問を受け、殺された。それで、俺らが、剣術、医術、密偵などを叩き込んでここに入れた。」
近藤先生が青くなる。
近藤「まさか・・・。」
高杉「あぁ。“長州の不逞浪士”に襲われた、芹沢って奴と、不正を暴かれて、切腹した新見だったか?ちなみに、新見って奴の不正を作り出したのは、梅だ。」
小川が手当てをしながら言う。
小川「あん時、芹沢を襲った、“長州の不逞浪士”に感謝してた・・・。本当は、自分が不逞浪士になりたかったのに、自分の腕前じゃ、出来なかった。あの人達だから出来たんだって・・・。」
土方「っ・・・。」
沖田「っ・・・。」
私達は、息を飲む。
あの日、梅ちゃんは、「ありがとう。」って泣いてた。
土方さんにも他の暗殺に加わった人にも・・・。あれは仇討ちしたから。
高杉「そして、池田屋の事件。あれで、こいつは、長州の敵になった。今、裏切り者として、命が狙われてる。」
沖田「そう言えば、見廻りのとき以前よりもというのもそうですが、他の隊より、狙われることが多くなった。」
高杉「梅には、もう一つ、やるべき事がある。それは・・・。父親を拷問にかけた奴を探すこと・・・。」
沖田「まさか・・・。」
高杉「あぁ。今回は、それを調べるため自分を使った・・・。」
近藤「そんな・・・っ。」
すると、それまで、黙っていた、土方さんが口を開いた。
土方「話しはわかった。だが、梅が間者であることには、変わらねぇ。」
高杉「間者?コイツが?笑わせるな。コイツは、ここの情報なんざ何も、喋ってねぇ。ただ、梅は色恋に関しては、初心者だから、沖田の事は聞いてきた。」
土方「情報が不意に、漏れてる事もある。」
高杉「それはない。それどころか、こちらの情報をやっただろう?・・・。引き金を引いたのはてめぇらだって。俺は、『沖田に抱かれて父親を拷問にかけた奴を聞け』と言ったんだ。そしたらアイツはなんて言ったと思う?『沖田助勤を騙すのは、心苦しい。』だとよ。父親の仇討ちするために、自分の身体を傷付けて、藩からも命を狙われてるのに。それで、情報をやったんだ。そしたら自分の身体を使いやがった・・・。こんな事なら、くれてやるんじゃなかった・・・。」
土方「何故、お前がそこまでする?」
すると、高杉は、土方さんをジッと見てフッと笑う。
そして、
高杉「てめぇや沖田、あと、そこの奴と同じだから・・だろうな。」
えっ!?私と高杉と同じ!?それって、山崎さんや土方さんも梅ちゃんの事・・・。
土方「俺は、違う。」
山崎「お、お、俺もちゃう!」
そして・・・。
高杉「梅の父親を拷問にかけたのは、お前だろう?土方・・・。古高の傷を見た。梅の父と同じだった。」
土方さんは、ジッと、高杉を見て・・・。
土方「あぁ・・・。多分、俺だな。」
それを聞いた、高杉は、少し考えて、
高杉「本当のことを言うか、真実は黙って、芹沢達がやったと言うかどちらかにしろ。コイツはずっと、苦しんでる。そして、お前らのことは気に入ってる。それがこいつからたった一人の肉親を奪ったお前らの誠意だと俺は思うがな。」
土方さんが、
土方「あの時、関係が無くとも、長州藩士・・・。そいつが怪しかった。捕まえて、聞き出すのは当たり前だろ?」
そう言うと、
高杉「ふっ。さすが、鬼の副長だなぁ?」
と言った。
すると、手当てが終わるとすぐに高杉が、梅ちゃんに駆け寄り、愛おしそうに優しく頭を撫でていた。
小川「高杉・・・。体の傷は直に良くなる。けど・・・。はるは、懐妊してた・・・。でも・・・っ。」
高杉「そうか・・・。心得に書いたのに、破りやがって・・・。これで、どう転ぶかわかんねぇが、仇討ちは終いだ。わかったな?」
すると、高杉は、近藤先生に、
高杉「俺達は、すぐ、長州に戻らないといけねぇ。でも、今、コイツを連れては行けない。だから、ここで面倒を見ろ。もし、梅に、何かあれば、容赦なく、新選組は潰す・・・。良いな?」
近藤「わかった。」
土方「近藤さん。そんなに簡単に飲むな。梅は、コイツと繋がってる。間者の可能性が限りなく黒に近い奴を置いて置けねぇ。」
近藤「だがな、この子を・・梅君を作ってしまったのは、俺達だ。それに、今までの働きは、歳、お前も、認めているだろう?」
沖田「でも、真実を知れば、今度は、土方さんが、狙われますよ。」
土方「そん時は返り討ちにしてやる。」
沖田「本気ですか?梅ちゃんは、今や、あなたと、互角の腕を持ってるんですよ?逆に、やられたりして。」
高杉「じゃあ、仇討ちの相手を教える代わりに、情報を話せと言えよ。きっと、コイツは話す。全ては、復讐のためだ。まぁ、それが、終わったらどうなるかはわからねぇがな。というか、人のややこ殺しておいて、何を言う。」
山崎「すみません。発言させて、頂きます。今、梅を動かすのは、無理だと判断します。」
土方さんは少し、考えて、
土方「わかった。その代わり、監視を付ける。何か、少しでも怪しければ、斬る。」
高杉はフッと笑い、「上等だ。」とだけ言った。