はるのリベンジ
あった!丙寅丸!
近くに馬を預けて、船に乗り込む。
バタバタと、皆、忙しそうに出航準備をしている。
取りあえず、陸から離れるまでは、見つからないようにしないと・・・。
隠れて、その時を待つ。
すると・・・。ゴゴゴゴゴ・・・という音と共に、船が動き出す。
よし!
そして、外に出た。
皆、慌ただしく、働いている。
そうか・・・。蒸気船なんて、初めてだから、皆、わかんないんだ。
すると・・・。
「おい!お前、どこの隊だ?」
ヤバい!
はる「え・・・っと。あ!き・・奇兵隊の5番隊!」
適当に答えると、優しいお兄さんがご丁寧に、連れて行ってくれた。
「おい!コイツ、迷子になってたぞ。」
「ん?こんな奴いたっけ?」
マズい!
「まぁ。いいや!これとこれを総督まで持って行ってきて。ちょっと、俺ら、手が放せないんだよ。」
はる「え・・・。それは・・・。俺が、それを、代わりますので!」
「早く行ってこい!新人!」
はる「はい・・・。」
私は、甲板で指示を出している、東行先生の所へ行く。
私は、新選組で、変装をしてたんだ。だから、大丈夫。
でも、正直、いきなりすぎて、道具が無く、お粗末な変装だ。
下を向いて、東行先生に、近づく。
はる「失礼します。谷総督。これ、5番隊からの記録です。宜しくお願いします。」
東行「あぁ・・・。ご苦労・・・。」
はる「失礼しました。」
一礼をして、さっと踵を返す。
ホッと安堵した途端。
東行「お前、ちょっと待て。」
ビクッと体が、揺れる。
ゆっくり、振り向くと、ニッコリ笑った東行先生・・・。しかし、目が笑ってない。
東行「お前。総督室に、い・ま・す・ぐ・茶を持って来い。わかったな?」
はる「は・・・。はい。」
私は、お茶を持ち、総督室に行った。
はぁ。でも、ここは、海の上。さすがに、降りろとは言わないだろう。
いや・・・。先生なら泳いで帰れとか言うかも・・・。
ビクビクしながら、戸を叩く。
「入れ。」
はる「失礼します。」
私は、お茶を机の端に置き、すぐに出ようとした。
はる「失礼しまし・・・。」
ダンっ!
戸を閉められて、しかも、東行先生の手が私を囲うように、戸に付いていた。
えーっと。これは、もしかしなくても、バレてる。
くるっと向き直り、東行先生の目を見つめる。
東行「さぁ。説明しろ。なぜ、お前がここにいる?」
シラを切ろう。
はる「な、な、なんの事でしょうか?俺は、奇兵隊として・・・。」
東行「ほぉ。さすが、密偵を仕込んだだけある。ふっ。でも、ここに来たら、別れると言っておいた筈だが?」
はる「さぁ?何の・・・。(ビリッ!!)フギャ!」
口元に糊で貼っていたヒゲ(自分の髪の毛で作ったやつ)をいきなり剥がされた。
はる「ふぇ・・・。っっ。」
東行「ふっ。言う気になったか?」
はる「俺には、何のことか・・・(ベリッ!!)痛っっ!」
東行「涙目になってるぞ?」
はる「それは、谷総督が・・・っ。」
口付けをされた。
いつものような甘い口付けを。
東行「はる・・・。会えて嬉しい。でも、危ないから遠ざけたい俺の気持ちもわかれ。」
はる「お、俺は、はるではありません!俺は、谷総督のお役に立ちたい!そのためだったら何でもします!どうか、ここに!あなたの側において下さい!お願いします!」
東行「はぁ・・・。本当に、じゃじゃ馬愛妾だな。最近、周りによく言われるが、これだとその言葉がお似合いだ。」
はる「東行先生・・・。」
東行「ここにいろ。その代わり、ここでは、俺は、総督だ。ちゃんと言うことは聞け。わかったな?」
はる「はい!ありがとうございます!っ!」
口付けをされた。
東行「少し俺を癒してくれ。」
押し倒され、口付けを交わす。
甘く、深くなる口付けに、涙が止まらない。
良かった・・・。置いてもらえて・・・。
私は、先生のお役に立つ。
安堵と決意を抱きながら、東行先生に、愛されていった。