チューリップの花束に愛を込めて


でも次の日も、あたしの元に白いのチューリップの花束が贈られてきた。


同じくチューリップの形をした紙には、“精算終了”と書かれていた。



精算終了…?


あたしは意味が分からず、でもその花束を花瓶に入れ替えた。




その日、学校に登校すると、クラスでは泣いている由奈ちゃん、そしてそれを慰める友達の姿が目に飛び込んできた。



『…由奈ちゃん、どうかしたの?』


あたしはクラスの女子の一人に、そう問いかけた。



『なんか隣の前田と別れたみたいだよ』



『……え……?』


あたしは今聞いた言葉と朝の“精算終了”の文字が脳裏に浮かぶ。



…まさか…



精算終了って、由奈ちゃんとのこと…?



あたしは急いで教室を飛び出した。


隣のクラスを覗くも健太の姿は見当たらない。



『あ…あの、健太は…?』


健太のクラスの人に問いかけるも、その人は首を傾げ、“さぁ”と答えた。


あたしはお礼を言って、宛てもないのに足を動かし始めた。





なんで…?



なんで?




なんで健太が由奈ちゃんと別れるの…?



健太には、健太の想いを大事にしてほしくて、健太に由奈ちゃんと幸せになってほしくて。



だから、あたしは健太から離れたのに…



なのに、なんで、健太はそんなことするの…?



“精算終了”って、何?


体育館も保健室も、健太が行きそうなところを全部回ったけど、健太はどこにもいなくて。



健太の考えなんて、分からないよ…



健太の考えてること、全然分からない。



教えてよ、健太…




なんで、こんな勝手なことするの…?






探して、探して。



でも、健太は見つからなかった。



もう一度、健太のクラスに顔を出すも、健太はいなくて。



でも、健太の机にかかってるカバンだけが、健太は学校のどこかにいるって教えてくれてるみたいだった。









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