ダンデライオン
「俺、麻子に期待をしていたんだと思う。

麻子が俺と一緒に京都へ行くことを選んでくれると思ってた。

でも麻子の返事は“待ってる”だった」

「そう、言ったよ…」

呟いているような声で言った私に、
「予想外の返事で戸惑った。

だけど俺は麻子に期待をさせていたうえに、甘えていたことに気づいたんだ」

朔太郎が私を見つめた。

「立派な板前になるために、俺は京都へ修業に行く。

麻子に甘えるのは、もう終わりにする。

だから、俺が帰ってくるまで待っていなくていいから」

「朔太郎…」

名前を呼んだ私に朔太郎は笑いかけると、
「ごめんな、麻子。

もう、迷わなくていいからな?」

泣いている子供に言い聞かせるように言った。
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