嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


『おい、おいっ』

突然、後ろから首根っこ掴まれ立ち上がらされた。

『晴哉のおばさんおじさんも、お前のおじさんおばさんも、心配してるんだよ!』

短く一喝されても、私は何処で泣いて蹲っているのかも分からない。
右も左も上も下もない世界で泣いていた。
ただ、その短い言葉は幹太なんだろうなって分かった。

『何も、食ってないんだろ?』
『晴哉がお腹を空かせているのに、私が食べるわけないじゃん』

わああっと咳を切ったかのようにまた泣きだす私に、幹太は抱き締めてくれるわけでも優しい言葉をくれるわけでも無かった。
いや、真面目な幹太だから、幼馴染の晴哉と結婚した私を抱きしめることなんてできないはず。
『晴哉は、お前に死ねと言ったのか?』
『言うわけない。もういいから、放っておいて。誰も私なんて忘れてよ!』

『馬鹿野郎!』

怒鳴られて、その大きな声に驚いて怖くてまた泣いた。
理性なんてとっくに擦り切れていて、まともな思考なんてなくて。

わんわん泣く私は、何週間泣いていたんだろう。
ご飯なんていつから食べてないんだろうか。
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