嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。

月がぽっかりと夜空に黄色い穴を開けているのを見ながら、私はお義父さんにビールを注いでいた。
揚げ出し豆腐に、お野菜のかき揚げ。お味噌汁に鯛の煮漬け。
やはりお義母さんの煮物は天下一品だ。

「おいしい。ああ、晴一も早く食べれるようになるといいね。こんなに美味しいんだから」
「晴には、豆腐とひじきとかしわの離乳食に、お粥のご飯をしたけど、本当に良く食べるわね」
積み木で一緒に遊びながら、お義母さんも嬉しそうだった。
「まだ好き嫌いはないみたいだし、お義母さんのご飯は美味しいからね」
「あらあら本当かしら。そうだわ、晴の離乳食作ってて、これ見つけたからあげるわね」

大きさからしてまたお見合い写真かと思ったが、出して来たのは新品の様に綺麗な離乳食の本だった。

「晴哉が好きだったのには付箋貼ってるから、晴くんにも作ってあげてちょうだいね」
「ありがとうございます」
「いいのよ。もう使わないと思ってたんだから」
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