センチメンタル・スウィングス
「今夜もうち来るか」
「帰ります」
「やっぱり?じゃー明日は」
「やめておきます」
「あ、そー。じゃ、俺がおまえんちに行くわ」
「遠慮してください」
「なんだよそれー」
「おつかれさまでした」と言って通り過ぎようとした私の手を、和泉さんがパッと掴んだ。

「待て」
「・・・何か」
「おまえ、ひとりで寝れるのか」
「は?当たり前じゃないですか」

もう、何言ってるの?この人は。

「俺はもう、ひとりで寝たくない」
「だったら、大勢いる“知り合い”に連絡を取ればいいでしょう?」
「・・・おまえ、今のマジで言った?」
「え。ええ・・・。私、もうすぐ生理なんです。だからそんな・・・」
「分かった」と和泉さんは言うと、掴んでいた私の手を離した。

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