センチメンタル・スウィングス
「わーった!俺も週明けからは、飲みやら会食やらのつき合いで、帰り遅いのが続くしな・・・」
「すみません。じゃ」
「桃子」
「はい?」
「俺は、おまえとエッチしたいって理由だけで、泊まってほしいと思ってんじゃないよ」
「・・・そうですか。じゃ、おやすみなさ・・・ぃ」

・・・だから。人が挨拶してる途中で、キスしないでほしい!

「まだおやすみ言うには早いだろ」
「だって、今日はもう会わないし」
「そうだな。桃。家着いたコール、俺にすること」
「・・・分かりました。それじゃあ。今度こそ行きますね」
「あいよ」

私の手を離した和泉さんの仕草が、とても名残惜しく、渋々って感じに思えたのは・・・私の思い過ごしというか・・・願望だった、かもしれない。

実家に寄って、家に着いて、まっ先に電話してしまったのは、だからなのか。
そして、コール先の彼は電話中だったのも・・・だからなのか。

時間を置いて、3度かけてみても、和泉さんは電話中だったので、私は『自宅に着きました。今日はもうスマホをオフにしておくので。おやすみなさい 檀上』というメールを彼に送って、「約束」したとおり、そのままスマホをオフにした。
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