センチメンタル・スウィングス
「ごめんなさいね、急に。和泉さん、うなされるようにずーっと“ももー”って言ってたから。来てくれてよかったぁ。あ、でも、もう鍵、ポストに入れちゃったんだー。ポストにも鍵かかってるから取り出せなくて。鍵のこと、和泉さんに言っといてくれる?じゃあ私はこれで」

一方的にその女性(ひと)は私にしゃべると、サッサと外へ出て行った。

あの人、誰だろ。
キレイな人だった。
少なくとも、和泉さんと仲が良い女友だちなのは確かだ。

さっきまで和泉さんちにいて、彼の看病をしていたくらい。

しばらくその場に立ち尽くしていた私は、その事実に気がついたとき、自然と彼のマンションから出ていた。

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