センチメンタル・スウィングス
でもその怖さは、病気が発覚したときに思った怖さとは、全然別物の類の怖さで。
もしかしたら、不安からじゃなくて、期待とか、冒険じみたワクワクしたような気持ちから、胸がドキドキしてるのかもしれない。

「私の勝ちは決まったも同然なんだから、和泉さんに何頼むか、今から考えておこうっと」
「俺は知ってるけどなぁ」
「何がです?」
「おまえが何を“おねだり”してくるか」

・・・和泉さんに何を頼むか、現時点で全然決めてないってことは、「私自身が知ってる」ことなのに。
自信満々な顔でそう言いきった和泉さんの顔見てたら、この人は、私が知らない私自身のことまで知ってるんじゃないかと思えてきてしまうのは・・・なぜ。

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