君の隣しかいらない
クラス
学校に着いたものの勇気がなく入るのを躊躇っていたら
「おーい!春北さーん!」
ん?誰?と思い声のする方に向いてみると五十代後半の担任とみられるおじさんが呼んでいた。どうやら下駄箱はあっちらしい。少し恥ずかしく思いながら担任らしき先生のところに小走りで行く。
近くで先生を見てみると頰がたるんでいて顔は黒く日焼けしている。黄ばんだメガネをかけ髪は白髪混じりで少してっぺんがはげている。明らかに清潔感がない…。

「君が春北さんか!よろしく!1-1を担任している山川です。春北さんの担任になります。少しうちのクラスは騒がしいし…」
私は、あぁ…このおっさん、話の長い奴だ。うざい。ほとんど話しなど聞いてなかった。でも、気を悪くさせないために笑顔で相槌を返した。
「……じゃあ!教室に行こうか!クラスの人数は春北さんも合わせて25人。最初は大変だと思うけど分からなかったら先生に聞いてね!!」
あまりの元気っぷりに思わずため息をついてしまいそうになる。
「はい!」
印象は悪くさせまいとニコッと笑顔で返事をした。
それを見て安心したのか先に進んでいく。その後ろを歩きながら飾ってある絵などを見ていく。
そうこうしているうちにクラスに着いた。
担任がドアを開き元気よく席につけ〜!転校生を紹介するぞ!と言う。自己紹介とかしなきゃなんないのかな。あぁうざったい。


「春北さん!入ってきて。」

「あ、は、はい!」
慌てて教室に足を踏み入れる。第一印象から全てが決まるから下を向いてちゃダメだ。舐められる。と思い背筋を伸ばし教壇の前に立つ。
「ええっと、これが転校生の春北 雪さんだ。みんな仲良くしてやってくれ」
黒板に私の名前を担任が書き出す。

「はーい。」
とだるそうな声を出してみんなが言う。

「なんか自己紹介してくれ。春北さん。」

これは想定内。

簡単でいいだろうと思い

「春北 雪です。よろしくお願いします」

普通に言った。……あれ?なんかテンション低くない…?みんな私の話しなど一つも聞いてなかった。複数人の女子はこちらを見てきて興味なさそうに他の女子と話し出した。え?なんかいじめられちゃう感じ…?ハブられる感じ…?先生も普通に丸つけしだしてるし…なんだこのクラス…
先生のことをガン見しているとやっと気付き

「あぁ、あそこの席について。」

素っ気なさそうに言われイラつきながら席に着く。

すると横の男子が私のことをちらっと見た後、前の席の男子と話し出した。うるさくてよく聞こえない。

最悪…。
転校してくるんじゃなかった…。
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