喫茶の謎解き意地悪紳士2


今すぐそばに行って、葵の背中を撫でてやりたい。

『私は、葵の無実を信じてるよ。』

でも、どれだけ信じても現実だけは味方してくれない。

その現実を詩音の手でひっくり返さないと。

「あともうひとつ。あなたに聞きたいことがあります」

叶亜が切り出した。

「被害者の死因は頭蓋骨骨折。あなたが被害者を突き飛ばしたときとは、別の傷がもうひとつ頭にあるんです」

「……もうひとつ?」

「何か知りませんか?」

葵は天井の一点を見つめ、しばらくして首を横に振った。

「私知らない。だって、舞を突き飛ばしたとき、私もショックで気絶したから」

「……」

取調室に沈黙が流れた。

叶亜が取調室のドアを開ける。

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