喫茶の謎解き意地悪紳士2


叶亜にも解けない暗号が、詩音に解けるはずがない。

その数字のキーボードには、舞の血が生々しく付いている。

「まあ、それは詩音ちゃんが持っていてくれ。」

阿部が椅子から立ち上がる。

持っていてくれって……。

「いいんですか!?大事な証拠品じゃ……」

「大丈夫だよ。詩音ちゃんは無くしたりしないだろ?」

そういう問題じゃない気がする。

「じゃ、叶亜。先、車行ってるぞ」

阿部が車の鍵を指で回しながら、食堂を出ていく。

叶亜も車イスに乗ると、詩音をみた。

「君は真実を明らかにしたいんだろ?」

突然の質問に戸惑ったが、詩音は目をそらさずに力強くうなずいた。

満足そうに微笑む叶亜。

「真実とは信じる者にしか現れないよ」

それだけ言うと、食堂をさっさと出ていってしまった。

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