らぶ・すいっち





「え? 順平先生がお休み?」
「そうなのよ、京香ちゃん。今日は英子先生が代理をするらしいわよ」


 そうなんですか、と思わず力を落として呟いた。私としては、安堵の気持ちが大きかったのだが、どこかで少しだけ寂しいなと思ったのも事実だ。

 その返事をどう捉えたのか。おばさまたちが、一斉に振り返りニンマリと怪しい笑みを浮かべた。


「寂しいわよねぇ、京香ちゃん」
「え……」
「個人レッスンできないものね、むふふ」


 固まる私に、おばさまたちは容赦ない。顔をズズッと私に近づけて、それはそれは楽しげに意地悪に笑う。


「順平先生のことだから、京香ちゃんの手を取り足を取り料理を教えたんじゃないかしら?」
「京香ちゃんドキドキしちゃったんじゃない?」


 頬を引き攣らせ後ずさるしかできない私に、おばさまたちはフフッと意味ありげにほほ笑む。

 怖い、怖すぎる……。


「あの、えっと……そのぉ」


 言葉を濁す私に、おば樣たちはニコニコと始終笑顔だ。怖い、怖すぎる。

 怯える私に、おば樣たちは今度は明らかにバツが悪そうな表情に切り替わる。

 そのギャップに私はついていけない。
 どうしたのかと声をかけようとしたのだが、おば樣たちの会話に思考がストップしてしまった。



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