らぶ・すいっち
「あの編集者とは、その後どうなったのですか?」
「……」
「私には聞く権利がありますよ。言ったはずです。恋のスイッチが入ったと、君が好きだと態度で表しているつもりですが?」
落ち着いた声で問いかける順平先生に、私はむきになって反論をした。
「スイッチは聞きましたけど、好きだとは聞いていません」
そうだ。私は順平先生から確かな言葉で告白されていない。
遠回しな言葉や態度じゃ私には通用しないし、信用できない。
謎だらけの順平先生の行動や言動に、私は振り回されてばかりだ。
種明かしは後でと順平先生は言ったが、まだ色々教えてもらっていない。
教えてもらったことはただひとつ。英子先生と土曜メンバーのおば樣たちは順平先生の味方だということだけだ。
息巻く私に、順平先生は小さく笑った。その笑みはドキッとするほど妖艶で、私は見惚れてしまった。
「では、今いいましょうか」
「え? 順平先生!?」
アスファルト舗装した道を外れ、小道へと車は進んでいく。
時折大きく揺れるほど、荒れた道だ。
車はゆっくりと停止し、ギアをパーキングに入れ、エンジンを切った。
木々は生い茂り、鳥のさえずりだけが聞こえる。薄暗いそこに人の気配は感じられない。
この状況に陥り、やっと自分の身が危険に晒されているのではないかと気がついたが、色んな意味で遅かったかもしれない。
「君が好きです」
「っ!」
言葉をなくす私を、順平先生は情熱的な視線で見つめてくる。
その視線に耐えきれなくなった私は、慌てて俯いた。