らぶ・すいっち






「おいしい! これ、すっごくおいしいですよ。順平先生」
「ふっ。良かったです。気に入りましたか?」
「はい、もともとミルクティー好きですけど、もっと好きになりました」


 茶葉売っていたから買っていこうかな、とレジ付近を見つめる彼女に私はほほ笑んだ。


「私が買いますから飲みに来てください。美味しいディンブラのアレンジティー作りますよ」
「本当ですか! 楽しみです。絶対に行きます!」


 ワクワクした表情の彼女を見て、思わず口角が上がった。きっと端から見たら、悪巧みが成功して喜んでいるように見えるだろう。そのとおりだが。
 どうやら目の前の彼女も何かを感じたらしく、私に警戒心を高めた。


「じゅ、順平先生?」
「ねぇ、京ちゃん。今、言いましたよね?」
「へ?」
「飲みに来てと言ったら絶対に行きます、と。もちろん、我が家ですけど来てくれますよね?」
「っ!」


 困ったように目を泳がせる京に、笑顔でトドメを刺す。


「君を初めて抱きしめたあの日以降、美馬の家には近づかないようにしていませんか?」
「っ!」



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