らぶ・すいっち
「あのときの君の笑顔は私だけのものにしたかったから、ですかね」
「っ!!!」
ポロンと箸で摘まんでいたサツマイモの天ぷらが皿の上に落ち、そのあと京の手から箸が転がり落ちた。
それらを慌てて拾い集める京だが、耳まで真っ赤だ。
クスクスと笑う私を、京は恨みがましい視線で睨んでくる。
それさえも愛おしいと思う私は、もっと京を弄ってしまうことだろう。
「もう! 二人だけの世界を作り上げないでちょうだいな。私も混ぜて」
ニコニコと楽しげに笑うお祖母さんに、私は軽く首を横に振る。
「ダメですよ、京ちゃんは私だけのモノですから」
ギュッと隣に座る京に抱きつくと、再び京の手から箸が転がり落ちた。
「……順平、先生?」
怒りのあまり腹の底から出た低い声を聞き、私はさすがに苛めすぎたかと肩を竦めたのだった。