らぶ・すいっち
* * * *
「こんなにたくさんいただいちゃっても良かったんですかねぇ」
京は、先ほどお祖母さんにもらったタッパーの数々を、冷蔵庫や冷凍庫に詰め込みながら不安そうに呟いた。
私はそんな彼女の手伝いをしていた手を止め、彼女を背後から抱きしめる。
「いいんですよ。お祖母さんはとても嬉しそうだったでしょう? それにあんなにたくさん美馬の家に置いておかれたら、こちらが困ってしまう。もらってくれて助かりますよ」
「そう言っていただけると安心するんですけど……」
「ですけど?」
タッパーを冷蔵庫にしまう手を止め、私を振りかえる京に私は首を傾げた。
一方の京は、眉間に皺を寄せている。
「順平先生。邪魔です。今、冷蔵庫にしまっているところなんですから」
「大丈夫、手は拘束していないでしょう? 背後から抱きついているだけなら邪魔にはならないはずです」
「よくないです!! ってか離れてくださいってば」
「ほら、それが最後のひとつでしょう? 早く冷蔵庫に入れて扉を閉めた方がいいですよ」
「わかっていますってば! もう、誰のせいだと」
ブツブツ文句を言いながら、最後のひとつを冷蔵庫にしまい、扉をパタンと閉めた。
それが合図に思え、私は彼女の首筋に唇を這わせた。
「ちょ、ちょっと! 順平先生ってば」
「だから、何度言えばわかるんですか? 先生は教室にいるときだけで充分です」
「で、でもっ!」
「ほら、簡単なことですよ。その可愛い口で私の名前を呼んでください」
「っ!」
懇願する私の声に、京はビクリと身体を反応させた。
私はそのままキッチンの床に彼女を押し倒す。キレイな黒髪がサラサラと音を立て、床に広がった。