らぶ・すいっち



 
「ねぇ、京」
「っ!」
「貴女に聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと……ですか?」


 それなら向こうのソファーで、とリビングを指さす京の手を掴んだ。

 そのキレイに整えられた指にチュッとキスをする。
 彼女の仕事柄、マニキュアをするのかと思ったのだが、彼女は爪をキレイに整えているだけ。

 前にそのことを聞いたら「だって料理するのにマニキュアは必要ないですよね?」そう言って爪を短く切りそろえられていることも好感がもてる。
 そういうひとつひとつのことが、愛おしくてしかたがない。

 あのくせ者ばかりが揃う土曜メンバーの皆さんが、彼女を可愛がっている所以もそういうところなのだろう。
 その手を握りつつ、指でなぞる。小さなその手は華奢だが、どこか力強くもみえる。

 それはこの手の持ち主が、そんな人物であるからなんだろうか。


「君は仕事中、いつも凜とした様子で働いているそうですね。確かに私が以前見かけたときもそんな感じでした」
「えっと、それは……」


 私が突然何を言い出したのかと思ったのだろう。困惑の色が見てとれる。
 そんな彼女の手をギュッと握り、嫉妬で狂いそうになる自分を抑えた。


「ですが、一度だけ。君は恋に浮かされたような表情をしてポッーとしていたことがあったそうですね」
「え……って、え!!?」
「それは誰のことを思って、そんな表情をしていたのですか?」


 最初はポケッと口を開いて首を傾げていた京だったが、ハッと目を見開いた。


「順平先生! それってどこ情報ですか? ってか、こんなこと言うのはあの子ぐらいだと思うけど……でも、誰があの子と?」


 パニックに陥っている京の頬をツンツンと突き、私に注意を促せた。



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