らぶ・すいっち




「あのさ、合田くん。順平先生に限ってそれはないない」
「はぁ?」
「聞いたでしょ? 居残りよ、居残り。私があまりにヘタクソだから、いつも個別に指導してもらっているだけ」
「……ふーん」

 納得していない様子の合田くんに、もう一度「違うからね」と念を押した。
 
(あ……個人レッスンのこと、おば様たちには内緒だった!)

 言ってしまったことに後悔したが、ふと思い直る。
 考えてみれば先に個別レッスンのことを言い出したのは、順平先生だ。
 今まで隠しておいたのに、土曜メンバー全員の知るところになってしまった。
 あれだけ隠していたのに、こんなにあっさりと公言してしまってよかったのだろうか。
 心配になって順平先生を見ると、視線が合う。


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