ハンバーガーと私とガールズラブ
「フフフッ! なんだ、やっぱりそうだったんじゃん」


 アイリは表情をころっと変えて見せた。


「アイリはね、キー子の事、バカだと思ってるし、色気よりも百倍くらい食い気の方が強いし、食べ物を餌にすればすぐ騙される奴だと思って見下してるよ。だから、キー子の事、信じてた。」


 ……何、言ってんだ。


「私もバンド抜けたよ。正直、エリとは私、やって行けないからさ。」


 しかし、私の心境はそれどころじゃなかった。


 なんでこんなことに……


 頭がフットーしそうだよ。


 こんなところで処女宣言をしてしまったことが、辛い。


「……なんなのよ、もう。」


 私は全身から一気に力が抜けた。


「ミホもバカだから、エリの言葉、すっかり信じちゃってたけど、やっぱりどこか不審に思ってたみたいでね~。結局、ミホもやめちゃったの~。で、私も抜けたからバンドは解散~。エリはキョーコと新しいバンドメンバー募集してるみたいよ~。あ、この間はピック投げてごめんね。でも、どこにも当たらなかったでしょ? わざと変なほう投げといたから。」


 なんだか、どっと疲れが出てきた。


 そう言えば、アイリの投げたピック、私には当たらなかった。


 なんだ。


 なんだ、いたじゃんか。


 私にも、信頼できる友達。


「アイリ、お願い。助けて。私、どうしたら良いのか……」


「まぁ、いいけど、さ。場所変えるか、それとも、何か注文しない? お店にいるのに何も注文しないで話し込んでるのがちょっとね~」
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