ハンバーガーと私とガールズラブ
 だがしかし。


 私は券売機の前で財布を忘れたことに気づいて、スムーズに固まった。


 ぐおお、鞄の中だよぉぉぉ!


 なんてこった。


 全部、荒井のせいだ。


 考え事をしながら歩くと、いつもこうだ。


 ちくしょう、荒井のバカ野郎。


 荒井のバカ! アホ!


 ん、いや、まてまて、制服のポケットに入っていたりする僅かな望みが……


 そう言えばピストルで撃たれた時に胸元に財布を入れておいたおかげで助かったなんて展開があるかもなんて財布を入れた時期があったから、もしかして……


 と、思って探ってみたけどやっぱり無かった!


 ぽ、ポケットは見事に空っぽでヤンス……


 望みは無い!


 小銭も入ってない!


 なんと言うことだ……


 私は泣く泣く券売機の前から離れた。


 もう、水を飲んで飢えをしのぐしかないのか。


 学食の入り口を涙目でいる私。


 と、そんな打ちひしがれた私の肩をだれかが突っついている。


「誰じゃい!?」


 私は振り返る。


「ひっ! あ、あの、せ、先輩」


 そこには昨日ラブレターをくれた夕月穂波ちゃんがいた。
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