ハンバーガーと私とガールズラブ
 穂波ちゃんのお弁当は今日も美味しかった。


 とっても、とっても、美味しかった。


 ジューシーな鶏のから揚げに、ミニトマトのサラダ。


 ふりかけのかかったご飯、ベーコンにアクセントのある粉ふき芋。


 食欲の無いのを予想してくれたのか、昨日よりも量は少し控えめだった。


 実を言うとレンコンとピーマンが少し苦手なのだけど、多分、そんな食材は今後も使われないのだろうなと、思う。


 ああ、穂波ちゃんといると安心する。


 なんだか、エリとか教室の噂とか、全部どうでもよくなってくる。


「先輩……」


 っとと、いつの間に穂波ちゃんをジッと見つめてしまっていたみたいで、穂波ちゃんが火照った顔で私の目を覗き込んでいた。


「無理しないで。辛いの、私、分かりますから」


「あ……」


 私の右目から涙が一滴だけ流れていた。


「ごめんね、穂波ちゃん! ほら、私、元気だよ!」


 慌てて涙をぬぐって、笑って見せてみる。


 でも、穂波ちゃんは私の涙に指で触れて、そのまま私の顔を覗き込んでいる。


 心配そうな顔が変わらない。


 穂波ちゃん……まつげが長いな。


 穂波ちゃん……
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