ハンバーガーと私とガールズラブ
 そんなこんなで体育は終わった。


 跳び箱の授業は、終わった後に片付けるのが大変だ。


 少なくとも、エリと、もう一人男子もいるけど、体育委員だけじゃ絶対に間に合わない。


 私はいつも手伝っていた。


 だけど、今は……


 エリは相変わらず冷たい態度で私を無視しっぱなしだ。


 手伝うのが、辛い。


 だけど。


 私は勇気を振り絞って、跳び箱の踏み切り版(男子が飛ぶ高い跳び箱の前に強いてある奴)を持ち上げると用具室まで運んだ。


 途中、エリと目が会う。


 が、すぐ目を離された。


「余計なことしないでくれる?」


 エリの冷たい声が聞こえる。


 私は何にも言えない。


 言えないから、ただ手伝った。


 男子の体育委員、えっと、名前なんだっけ。


 そうだ、丸山だ。


 丸山と一緒に跳び箱を持って運ぶ。


 急げ、急げ。


 って言うか、跳び箱の授業の片付け、大変なの皆知らないのかな。


 先生だって、大変だから手伝ってって授業が終わる時に言ってるのに、誰も手伝わない。


 これが温もりを忘れてしまった都会の人々の、荒んだ心の現われなのだろうか。
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