Successful Failure -短編集-
俺は踵を返し、教室のカギを閉めた。
「どういうことだ?」
「どういうこと?んー、俺にもわかんねーよ。なんで学年トップの水島様がモッパラなんて簡単な漢字が書けなかったのか」
なぜそれを知っているんだ。
いや、そもそも俺は、モッパラという漢字は、ちゃんと書いて提出している。
つまり、太田は、俺がカンニングをする前、もしくは・・・
「見たのか?」
「ああ、見たね。だって俺の席、お前の後ろだぜ?その気になれば前の席の答案をチラッと見ることはできるし、お前がカンニングするのなんて丸見え」
不覚だ。
まさか見られていたとは・・・
なんでこんなことをしたんだ、馬鹿か、俺は!
こんなことならまだ書けなかった方がましだ。
冷静になれ。