Fun days

和美

2限が終わった後、
美桜は和美と学食に向かっていた。

「で、昨日は本屋の後どうしたの?」

和美が美桜に聞いた。

「コメダ珈琲に行ったよ。
 スイーツおいしかった~」

幸せそうに美桜が言う。

「美桜、なんだかんだ言って、
 いつも村田とお茶して帰るわよね」

「村田がいい提案をするんだよね…
 私のツボをよく押さえてて」

美桜は意外とわかりやすいからね。
和美は思ったが、黙っておいた。

「もう、つきあっちゃえばいいじゃん」

美桜の顔が曇る。

「うーん…」

「ん?だめなの?」

あんなに二人で一緒にいるのに。

「うん…」

さらに顔が曇る美桜。

二人の仲が進展しないのは
村田が恋愛下手だからだと思っていたけど
違ったんだ、と気付く和美。

「まあ村田、バカっぽいしね」

和美はハッキリ言ってみた。

「いや、村田はいいやつなんだけど」

即答する美桜。

そう答えると思っていた和美。

「いいやつなんだけど、だめなんだ?」

「…つきあっちゃうと、色々あるじゃん。
 それを乗り越える自信はなくて」

「よくわかんないんだけど」

すかさず、率直に聞く和美。

「…正直に言うと、つきあうのは、
 めんどくさいんだよね…」

言いづらそうに言う美桜。

めんどくさい、ねえ…
それもよくわからない理由だけど。

「まあ、そこまで村田のことを
 好きじゃないってことね」

「うーん…多分、ぶっちゃけ…そうです…」

「村田じゃちょっと頼りないしね」

「いや、村田の問題じゃないんだよ」

付き合う気はないのに
村田のフォローはするんだな、と思う和美。
これも黙っておくことにする。

「ま、村田に夢を見せないほうがいいよ。
 その気にさせて付き合わないんじゃ、
 かわいそうなんじゃない?」

「うん。そうだよね…」

村田の悲しい顔が浮かんで、暗い気持ちになる美桜。

そんな美桜に構わず、

「村田にちゃんと言うのよ」

はっきりと釘を刺す和美。

「はい」

しかたなく、返事をする美桜だった。
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