Fun days

今日は同じ講義があるから、
美桜に会えるはずだ。
何て言うかな…
村田は頭に違和感を感じながら、
学校へ向かっていた。

教室で、見慣れた長い髪に声をかける。

「美桜、おはよう」

「…あ、村田、おはよう。
 髪の毛、黒くしたんだ。似合ってる」

美桜の笑顔に安心する村田。
よかった。
言うとおりにして。

「美桜、おはよう~。…あれ?村田?
 違和感ありまくり~」

和美が、美桜の隣の村田に気づいて言う。

「うん。美桜に言われて」

嬉しそうに村田が言う。

「まあ、村田が何かするときは
 美桜が操っているわよね」

なんでもないことのように、和美が言う。

「美桜!おはよう」

出た。
この声。
この授業一緒だったんだ…
ため息をついて美桜が振り返ると
健吾が笑っている。
一緒に村田も振り返る。

「あ!村田じゃん!
 いいじゃん、似合ってる。
 合コン行けば、普通にモテるぞ」

「いいよ、そんなの」

呆れた声で言う村田。
しかも美桜の前で…

「行ってみろって。
 セッティングしてやるから」

健吾は早速メールを打ち始める。
美桜はもう健吾の話を聞かず、
和美と話し始めている。

「健吾。俺、行かないからね」

はっきり言いきって、前を向く村田。
健吾はつまらなさそうな顔をしている。

「おっす。…もしかして村田?」

佐々木の声で、村田が振り返る。

「おはよう、佐々木」

「おはよ。似合ってるよ、黒髪」

「だろ?だから合コンしようって言ってるのに」

健吾がふてくされて言う。
村田は聞かずに前を向く。

「また健吾は村田をいじめて。
 本当に嫌われるぞ」

佐々木の言葉に、思わず頷く村田。

「だって。もったいないじゃん。モテそうなのに」

そんなにモテそうかな?
美桜は村田の横顔を見る。
何だか見慣れない。
…金髪のほうがよかったかも。

「そういう問題じゃないだろ」

呆れながら佐々木が言う。

「お前、これ以上嫌われて
 友達いなくなったら、バスケできなくなるぞ。
 …そしたらお前抜けろな。」

「まじか」

「お前無しで、俺がまとめる」

「…すいませんでした」

聞こえてきてしまう会話に
顔を見合わせて笑う美桜と村田。

鈴ちゃんの言うとおり、
みんないいやつなんだろうな。
ちょっとアクが強いだけで。

ふと思い出して、美桜が言う。

「今日、バスケ見に行くね」

「え、そうなの?」

思わぬ情報に、笑顔になる村田。

背後で健吾が
つまらなさそうに二人を見ていた。
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