Fun days

反省

しかたなく、美桜は村田と
写真の整理の続きを始めた。

「杏子ちゃんの写真、多すぎるかな…」

照れた杏子を思い出して、村田は答える。

「そうだね。恥ずかしいかもしれないね」

「可愛いのになあ…」

「こっそり、どこかに取っておけば?」

「そうだね…。フォルダを作って置いておこうか。
 健吾と佐々木くんも多いし、
 バランス見て、人ごとにフォルダを作ろう」

美桜が少し元気になってきた。良かった。
村田が安心していると

「…あーあ、杏子ちゃん、泣かせちゃった」

また沈んで言う。
そして、画面の健吾を見つめて、つぶやく。

「何で健吾は杏子ちゃんのこと、
 可愛いと思わないのかな…」

村田は少し考えて答えた。

「…健吾にとっては
 兄妹みたいなものなんじゃないのかな」

「…兄妹かあ」

「うん。俺、兄貴は男前だと思うけど、
 かっこいいとは言わないよ。悔しいもん」

村田の言葉に、美桜は思わず笑う。
…ああ、そうか。
健吾の気持ちが、何となくわかった気がする。

「健吾は杏子ちゃんが可愛いって言われて
 やきもちを焼いたのかもしれないね。
 妹が急にモテちゃって、焦る感じ」

「うん。そうかもね」

「…でも泣かせちゃったな…」

また沈む美桜。

「せっかく友達になれたのに」

伏せた大きな目から、今にも涙がこぼれそう。

「大丈夫だよ。杏子はちゃんと
 美桜の気持ち、わかっているよ」

「そうかな…嫌われてないかな」

ポロポロと涙を落とし始めた。

「大丈夫だって」

村田が、優しく美桜の涙をぬぐう。
何だか泣いてばかりだ、私。
打ち上げで杏子ちゃんは慰めてくれたな。
ただ、ひたすら優しく頭を撫でてくれた。
…またおしゃべりできるよね、
笑ってくれるよね、と思って、また涙が出る。
私、ばかだなあ。
いつも人の気持ちを考えないで、
言いたいこと言って、傷つけて…

美桜がまばたきをするたびに、涙が落ちる。
止まらない涙を見て、村田はせつなくなってきた。
俺は役に立たないなあ。
泣いているのをただ見ているだけだ。
安心させてあげることができない。
美桜のためだったら、何だってするのに。

そう思って、村田は美桜を抱きしめた。
美桜の頭に頬をつけ、傷が癒えるように祈った。
心から美桜を想って、髪を優しく撫でた。
「美桜、大丈夫だよ」
俺はずっと美桜の味方だから。
ずっとそばにいるから。
ただそう思い続けて、抱きしめた。
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