Fun days

スイーツ

早速、村田はバイト先の店長に
頼み込んで、スイーツをもらってきた。

学校で美桜を探すが、水曜日は
同じ授業がないので、なかなか会えない。
早々に諦めてメールを送る。
美桜は用が無いとすぐ帰ってしまうから、
早めに手を打っておかないといけない。

すると、すぐに『食べに行く♪』と返事がきた。
人目もはばからず
携帯にむかってニヤニヤする村田だった。


村田は、美桜と家に入ると
すぐに冷蔵庫からスイーツを取り出し、
テーブルに並べた。

プリンアラモード・ショートケーキ・ロールケーキ。

「すきなの全部食べていいよ」

村田が言う。

美桜は、目を輝かせて笑ったかと思うと
真剣な眼差しで選び始める。
だんだん険しい顔になってきた。

その表情もかわいいけど。

「もう全部食べればいいじゃん」

見かねて村田は助言をする。

「さすがに全部食べたら、美味しくなくなっちゃう…
 全部半分ずつ食べていい?」

笑ってうなずく村田。

仲良く半分ずつ二人でスイーツを食べる。
スイーツは素晴らしい、心からそう思う村田だった。

食べ終わる前に、村田は次の行動に出る。

「美桜、DVD見よう」

食べていて返事ができないうちに、DVDを再生し始める。
今日のためにラブストーリーを借りておいた。
映画に詳しい大崎の評価を聞いて選んだから、
間違いはないはず。

心の中でニヤリとしながらDVDを見る。

美桜はそのオープニングに見覚えがあった。

ああ、これ見たことがある。
いい映画だよね~。
スイーツを食べるのに口が忙しく、
心の中で言った。

・・・何度見てもいいな。
ここ、泣けるよね~。
・・・でも、落ち着いて見てみると
この俳優さん、鼻がでかいなあ。
最初はもっとイケメンに見えたけど。

なんて思っていると、視界の隅で
何かがこそこそ動いている。

ふと見ると、村田が涙を拭いていた。

・・・気持ちはわかる。
いいシーンだもん。
私も前に見たときは泣いたなあ。

美桜は黙ってティッシュを取って、村田に渡した。

美桜からティッシュを受け取り、涙を拭く村田。

泣く美桜をヨシヨシしたかったのに、
俺が泣いてどうする・・・
何度確認しても、美桜はまったく泣いていない。

作戦は完全に失敗だった。
しかも泣いている姿を見られて、超かっこ悪い・・・
恥ずかしくて自分に泣けそう。

村田が打ちひしがれていると、DVDが終わった。

「・・・これ、いい映画だよね。
 次はお笑いを見ようよ。私、アメトーク見たい」

何事もなかったかのように、笑顔で美桜が言う。

「・・・うん。今度借りとく」

優しい美桜に、また泣きそうになる村田だった。
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