濃紺に染まる赤を追え。




「……んっ」


深くなったキスに、鼻にかかった声が漏れた。

恥ずかしくなって胸を叩けば、ゆっくりと唇は離れる。

濃厚なチョコの味が、余韻のように残っていた。


そっと桐谷を見上げると、もぐもぐと口を動かしていて。

その様子にほっと息を吐いた。


「きりたに」


呟くと、嬉しそうに目を細める。

そんな顔を見せられて、立っていられる私を褒めて欲しい。


「あのね、そのチョコは桐谷に食べてほしくて作ったんだよ」


そう言うと、一瞬驚いたように目を見開いた桐谷。


「……桐谷に食べてもらわなきゃ意味がないの、だから」


そんないじわるしないで、と。

頬が赤くなるのを感じながら小さく呟けば、ゆるゆると弧を描く桜色。


「分かった、よっこありがと」


楽しげに弾むテノール。

うん、と頷くと耳元に寄ってきた桐谷の唇。






「……でも、残りも全部食べさせて?」

「知らない!」



落とされた甘い囁きに、赤くなりながらそっぽを向いた。





  ―fin―

「口移しとかいいね、ぐっと来るね」
「ちがっ、だって食べて欲しくて……!」
「かーわいい」
「……っ」

( Happy Valentine's Day ! )




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