恋の治療は腕の中で
「望月さん。こちらへどうぞ。」

悠文が私の肩を持って一緒にカウンセリングルームに入って行った。


「どうぞ、こちらにかけてください。

こちらの方は?」

「同僚の藤堂先生です。」

「藤堂? ……。

もしかして藤堂 雅文先生の親族の方ですか?」


「はい、雅文は父です。」

「そうでしたか。

いやー、藤堂先生にはいつもお世話になって…。

コホン

あー。では、説明しますね。」


「今朝方自宅で胸が苦しくなって倒れていたのを仕事で来たお手伝いさんが119番通報したみたいですね。

色々検査しました。胸部CTと血液検索にMRIと心電図モニターとレントゲンと。

結論から言うと心筋梗塞です。」


心筋梗塞……。

私が座っているのも危なく見えたのか悠文が私を支えてくれた。


「それで、程度としてはどれくらいなんですか?」

先生は、レントゲンを見せながら

「ここ分かりますか?あとこことここもかな。本来ならこのくらいの太さがあるはずなんですが、ほらここは狭くなってるの分かります?」

なに、このミミズみたいなの。

私には何が何だか分からない。でも悠文は、

「あー、はい。そうですね。」

分かるんだ。

「そうですね。まずはカテーテルをしてもう少し詳しく調べてみて、それからステントかバイパスか決めたいと思います。」

「それってどちらにしても手術ってことですよね。」

「そう言うことになりますね。

これだけ細くなっている箇所があると他の場所もある可能性があるので平行して他の場所も検査してみるつもりです。」


「そうですね。よろしくお願いします。」


「ところで、お父さんの藤堂先生はお元気ですか?」


「はい。相変わらず頑固ですけど。」


「はっはっは。

そんなこと言えるのはご家族の方だけですよ。」


「あのー。」


「はい、何か分からないことがありますか?」


「医院長、いえ、海老名は大丈夫なんですよね?」

「大丈夫?

あ~。命に別状ないかってことかな?」

「はい。」


「まあ、まだ他も検査してみないとハッキリとは言えないけど、特に持病も無いみたいだから今すぐどうこうって事はないだろうから心配しなくていいですよ。」


「良かった。」

「もうそろそろ意識も戻るんじゃないかな?」


先生にお礼を言って私達は医院長の病室に向かった。
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