恋の治療は腕の中で
そんな……、悠文は隆文さんのそんな気持ちを知らないままずっと恨み続けていたなんて……。

「彼女が亡くなってから悠文は家族の誰も信じられなくなっていって。まあ仕方がないことだが。

それから医者になることを止めて歯科医になったんだが、兄弟の僕が言うのも何だがあいつは、顔が良いから昔から女性がほっとかなくてしかもかなりしつこい女性もいたらしくそんな事が重なってすっかり人間不振になってしまったんだ。」

「隆文さん。」

麗香さんが優しく隆文さんの肩に手をかけた。

「そんな悠文が誰かと暮らすなんて、しかもあのマンションでだなんて正直信じられないんだ。」


あのマンションは確かお母さんの形見だって言ってた。

「お母さんの形見のマンションですよね?」

「そうなの。悠文さんのお母様が亡くなられてから悠文さんにとってあのマンションが唯一心の安らげる場所だったのよ。」

そんな大事な場所だったなんて。そんな風には見えなかった。悠文はどんな気持ちで私を迎え入れてくれたんだろう。

悠文への思いがどんどん溢れてくる。

「でもね、わたくしが自殺未遂をした時。」


「おい!麗香!そのことは……。」

「いいんです。紗和さんには知っておいていただきたいの。

それに、もうわたくしにはあなたがいるから。」


この二人本当に愛し合ってるんだな。

「あの時わたくし思いましたの。
前の悠文さんならあんなに必死にわたくしの看病をしてくれなかったんじゃないかって。
悠文さんは変わりましたのよ。それはきっと貴女のおかげだと思うの。」


「そんな、私は何もしてません。私こそ悠文がいてくれたおかげで1人じゃないんだって思えるようになったんです。」

「僕は、悠文に一生恨まれても構わないって思っていたんだが、麗香がそのぉー。仲直りしてくれと言うものだから。」


「あらっ、わたくしのせいですの。」

「いや、そういうつもりで言った訳では……。」

「冗談ですわ。」


何だがさっきから麗香さんに押されっぱなし。正直隆文さんのキャラが変わってきてない?
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