恋の治療は腕の中で
帰ってきたら、一緒にお風呂に入るとか言ってきたのをなんとか阻止して、一人脱衣場に。


ホントに私これ着るの?



お風呂からでて、リビングに入ると悠文はソファーに座ってコーヒーを飲んでいた。

私に気付くと自分の隣を


ポンポンとここに座れと合図する

私は恥ずかしそうに隣に座ると、


「ちゃんと着てくれたよね?」


優しかった王子様はもうどこにもいないらしい

「一応…………」


満足気に立ち上がりそのままお風呂に入っていった。

私は今日買ってきた物の中から取り敢えずすぐ使う物だけ出して、他のものはまた袋に戻した。


明日の洋服は、これとこれで。


食器は出して洗わなきゃだよね。明日から使うよね。やっぱり。


お揃いなんて、恥ずかしい。今まで買ったことないからなぁー。


そんなことを考えながら食器を洗いどこに片していいか迷っていると、突然後ろから。

「キッチンは、紗和の自由に使っていいよ。

少しずつ紗和の使いやすいようにしていけばいい。」


「そんなことより。ほらっ」

きゃっ

悠文が急に私を抱き上げて、スタスタ歩きだした。

「ちょっ、ちょっと待って。明日の朝食は?ほらっ、ご飯がいいんじゃない?お米炊いとかなきゃ。」

なんとか誤魔化そうとしたけど、無駄だった。

「明日はパンでいいから。

それに、きっと紗和は用意できないと思うよ。」


いたずらっ子のように笑う


「どういう意味?」


「明日になれば分かるさ。」


そう言って私を寝室まで連れて行った。




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