恋の治療は腕の中で
でも、こんなに苦しい思いするなら好きになんてならないほうが良かったのかも。


「今までの紗和は絶対に人を近付けさせなかったじゃない。特に異性の人わ。

自分は1人で強く生きていくって。

肩に力いれちゃってさ。


そんなに人は強くはいられないよ。
誰だって弱い時はあるし、そんな時でも紗和は強がってみせるじゃない。
だからいつか心が壊れちゃうじゃないかって、いっつも心配だったんだ。」

瑞季はそんな風に思ってくれてたんだ。



「ほらっ、タオル。涙ふいて。」


えっ、私泣いてる?

「紗和がこんなに弱い自分見せるなんて、これも藤堂先生のおかげかな?」

うん。きっとそうだよ。
でももう遅すぎだよ。

「で、紗和はどうしたいの?」

「そりゃー、出来れば一緒にいたいけど、やっぱり麗香さんの事を考えるとこれ以上二人に迷惑はかけられないよ。」


「そっか、それが紗和の決めた事なんだね。

後悔しない?」

後悔かぁー ……。

「するかもしれないけど、悠文を困らせたくないから。」

せめて自分が好きになった人には幸せになって欲しい。

「よし、藤堂先生にはちゃんと責任とってもらわなくちゃ!」


責任?なんの?

瑞季ったら何でもないとか言って結局教えてくれなかった。
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