3日限りのルームシェア
樹は起き上がるとヘンリーネックのTシャツとジーンズに着替えると
リビングにいる知香に声をかけた。
「知香ちゃん」
知香が振り向く
樹は満面の笑みで壁にもたれかかっていた。
ヘタレのくせにイケメンだから何をしてもさまになる。
得な男だ。
そんな樹の姿にまたもやドキドキする知香。

「どうしました?・・・どこか・・お出かけになるんですか?」
「・・・うん・・」
樹はどうやって誘おうか迷っているのだが
知香は樹が女性と会う約束をしてるが何となく言いにくい・・・と見えたようで
「私の事は気にしないでどうぞ」
笑顔で答えているつもりなのだがなんか胸がちくっとする。
「会うことは会うんだけど・・・君も一緒に・・と思ってさ」
は??なんで樹が女の人と会うのに私がつき添うの?
信じられないんですけど!
そう思うも梓の兄貴だ、あまり失礼な言い方はよろしくないと。
大きく息を吸って笑顔を作る。
「私なんて行ったらせっかくのデートが台無しですよ。私はいいので
行って来てください。」

よし笑顔たもてた。
すると樹は不思議そうな顔で知香を見た。
あれれ?私なんか変な事いった?言ってないよね。
「デートではないんだけど・・・・」
本当は知香と二人きりならこんな素敵な事はないと樹は思った。
「デートじゃなかったら・・・」
「梓と会うんだよ」
「へ?」
梓?え?てっきり美女とデートかと思った知香の心拍数は元に戻った。
ってかなんで、私ってばこんなにもドキドキイライラしていたんだろ~
知香は自分の行動に自信が持てなくなった。

おかしい・・・私絶対おかしい。
昨日久しぶりに会った友達のお兄さんに感情振り回されっぱなし。
「ダメかな?3人で知香ちゃんと梓がよく行くカフェで10時に
待ち合わせって・・・言うだけ言って梓の奴電話切っちゃったんだけど・・・」
その言葉に知香が凄くホッとした顔をしていたのを樹は見逃さなかった。
知香は時計を見ると
「すぐに用意するので座って待っててください」
そう言って慌てて自室に入っていった。
そんな知香の姿を見て樹の顔はにやけていた。
「脈あり?」
悔しいがにやけている顔もかっこいいのだ。
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