3日限りのルームシェア
せっかくマスターがくれたチャンスをうまく活かさないと・・・
「ここさ・・・俺の大好きな場所なんだ・・・
小さい頃はよく、家族で海水浴に来ていたけどね・・・
就職した頃は嫌な事があったり、悩み事があったりすると
一人でよくここに来て気持ちをリセットさせていたんだ。」
知香は樹の言葉にだまって耳を傾けていた。
「じゃあ・・・今は?どういう気分でここにいるんですか?」
多分知香は何気なく言ったのだろう。
だが樹はその言葉がきっかけになった様で・・・
「・・・いろんな思いを抱えて・・っていったほうがいいのかな?」
樹が真剣な目で知香を見る。
「お仕事の事ですか?」
「仕事は順調だと思うよ」
知香の鈍感ぶりに樹もこれは長期戦かと覚悟を決めた。
「じゃあ・・・樹さんもてるから女の人に言い寄られて
相手するのに困る・・・とか?」
茶化すような知香の言葉に樹は溜息を洩らす。
「知香ちゃんてさー俺の事本当にすごいプレイボーイだと思ってない?」
知香は笑いながら「そうじゃないんですか?」と突っ込む。
昨日今日と凄くやさしかったけど
まだどこかで引っかかりがある知香のそうなんじゃないんですか?
は本音だった。
樹も知香の言葉は彼女の本音だと思った。
つくづく自分のとった過去の行動を恨みたくなった。
「俺さ・・・実はずーっと好きな人がいるんだ」
「え?」
知香の鼓動が速くなる。
「しかも・・・片思い歴軽く5年以上・・・すごいでしょ?」
「本当・・・なんですか?」
何だろう・・・なんか胸がチクチクする。
樹に好きな人いる・・しかも軽く5年以上?その事実に軽いショックを受けていた。
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